私は問う。
「この町ブラックウッドで何かが起きているのか?」
「正確に言えば、何かが起きつづけている。」
ギャルソンKDG三船はそう答えた。
そのとき、上空を軍用ヘリが横切った。
VAD,VAD,VAD,VAD,VAD・・・・・、静けさを裂く轟音。
ギャルソンは言う。「あれだよ。軍隊が関わっている。」
私は聞く。「軍隊・・・。自衛隊か?」
ギャルソンは空を見上げて言う。
「アメリカ軍だよ。今のはアメリカ軍のヘリだ。今の方向だとY川の下流の方、・・・トラッカー集荷場辺りの広場に着陸したな。ものものしいぞ・・・。おそらく、SCPと関係がある。」
「SCP?」
「SCPとは。自然法則に反した存在・物品・場所・現象をSCPオブジェクトとしてファイリングする動きさ。特別収容(スペシャルコンテインメント)プロトコル・ナンバリングで、多くの国際組織がファイリング競争を激化していると云われる。」
SCP情報を多く保有する事が、今世紀の国の威信に関わるとさえ考える政治家・研究者らが居るという。一九五二年に米国ウエストバージニア州{FLATWOODS}に飛来したとされる『UFOと宇宙人のロボット』は、そのひとつとして、あまりに有名だ。
ギャルソンは言う。
「Y川に沿って行ってみよう。途中、工事中で車両通行出来ない場所がある。だが、歩きで行ける距離だ。そうはかからない。」
Y川に沿って歩いていくと『キャットピープル』のような猫一族の棲息区に入った。
一人の女性が、猫に{RØDE}マイクロフォンみたいなものを差し出していた。