私がかつて生活して居たセカイ。
 小さな町。
 ブラックウッド。
 半世紀以上前、ここはオレンジファームで賑った。住民は当時五万人は居ただろう。町自体は、江戸期以前からあり、商業も栄えていた時代があったと歴史は語る。

 それは遥か昔の日々だが、私の幼少期は高度成長期のフルーツブームと同期しオレンジ栽培流通が町の一大産業のひとつだった。
 もともと密林・原生林の多様なゾーンでもあったのだが、当時のバブル経済の為に無用な開発と造成によって削り取られた山々もあった。
 私は少年であった。それらの状況を見て、おぼろげに記憶しているだけだ。記憶が本当にあった事かさえ、もう定かではなくなってきている。

 私は長い間、イタリアに住んでいたのだ。イタリアはロンバルディア州の田舎町モンザンバーノ。そこも非常に小さい町だった。こころ落ち着く教会があり、好きだった。

 そして、ブラックウッドへ戻って来た。

 もはや少年時代の、あの日の記憶しかないのだが・・・。

 あれは、ほんとうに起きたことだったのか、あの場所は、ほんとうに在った場所だったのか?

 探求がはじまった。

 山の向うのクレーター。
 少年の日の記憶。
 私は、パジェロミニを走らせた。

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